佐々木一成のブログ

元JOYBRASS トロンボーンアドバイザー 佐々木一成のブログです

Road to Bolero 宮川くんの挑戦 vol.1

どうもアドバイザーの佐々木です。

ジョイブラスの情報をチェックしている方は既に知っていると思いますが、スタッフの宮川くんが一年間でボレロのあのソロをチャレンジするという企画が昨年の12月から始まっています。それに伴って僕が少しアドバイスをしていくということをしていまして、その内容と僕としての考え方をこのブログ上で解説をしていこうといういわばスピンオフ企画です。

第一回から第二回までのあいだにアドバイスした内容は

「音(譜面)とポジションをちゃんと確定しよう」ということでした。

宮川くん自身はテューバ、コントラバスをやってきたということもあり、ヘ音記号、inC読みに関しては問題はなく、それがトロンボーンのポジション上でどの音が鳴るかというのがわからない状況でした。見ていてわかったことはテューバの運指をスライドのポジションに変換して吹いていましたので、音(譜面)とポジションを早い段階で覚えてもらうようにスケールが書かれた譜面を渡して

1、頭の中でちゃんとその音を歌う(発声しても良い)

2、音は出さなくて良いので歌とスライドのポジションを連動させる

3、ボレロの譜面で同じことをやる

この3つを1日3分で良いので忙しくてもやりなさいということを言いました。

ボレロは高音域という唇(リード)の問題にフォーカスされがちですが、意外とハイトーンが苦手ですという人で吹いてもらうとその音域近辺のスライドが確定されてないことが多いです。トロンボーンの場合、高音域になればなるほど手前のポジションで倍音コントロール地獄みたいな状況になるので、例え音が出なくても吹こうとする音とスライドがちゃんと確定されている状況を作っておいて、それから音を出すトレーニングをしたほうが良いと思ってます。

二回目はいかがでしたでしょうか?ほんの少しですが進歩はあったように思います…が、個人的には上のD♭の出てくるフレーズでスライドが止まってしまったことがとても残念でした。

いや残念でしたね…、本当に残念でした……(笑)。

とまあこんな感じでまた次回をお楽しみに。

 

情熱と継続のあいだ

寒いです、寒いです、寒いです…どうも、アドバイザーの佐々木です。

 

「好きこそものの上手なれ」

 

とは良く言ったもので、夢中にそれを続けることで上達していく状態を表している言葉ですが、最近本当にそう感じた出来事が続きました。

お二人いまして、その二人ともYouTubeでひたすら演奏を視聴して練習するというのを繰り返しておられるとのことでした。お一人は地方から何度かお店に来られている方で、僕はしばらくお見かけしなかったのですがこの間久しぶりに来店されて、試奏を聞いていたら、あまりの上達ぶりにびっくりしました。もう一人は中学生、この子はレッスンもしたのですが好きなプレイヤーの演奏をYouTubeを聴きまくり、楽譜も持ってないけどひたすら耳コピをして曲を練習しているらしく、Davidとかを普通に吹いていてこれまたびっくりしました。

 

いや、本当に便利な時代になったなと…

 

世界中のあらゆる人が発信者になれるしそれを受け取ることが出来るというのは改めてすごいと感じましたね。確かに良い生音、波動みたいなものが近くで触れられるならば最高の環境だと思いますが、地方に住んでいたり、金銭的な面など現実的になかなか難しい環境にいるトロンボーン大好き人間にとって、インターネットで受け取れる情報はとても価値があります。

僕が広島の学生だったときはまだネットもそんなに普及していませんでしたし、当時はCD、テレビやラジオ、そしてたまにある演奏会だけが頼りでしたね。それでも比較的間近で聴ける機会が多かったのは運が良かったと感じています。その中で自分なりに試行錯誤しながらこの曲が吹きたいという欲求、何度もトライ&エラーを繰り返す練習がとても大切になってきます。

ひとつの課題に対して、

「なんかなかなか出来ないんです。」

というのと

「出来ないのですがこういう風にやろうとしてます」

というのは同じ出来ない状況でもとてつもなく大きな差として表れてきます。

それをどれだけ貪欲に続けられるか、より良いクオリティを欲するかというのが重要だということを改めて認識できた出来事でした。

 

今回はここまで、それではまた。

【質問は tb@joybrass.co.jp までどうぞ!】

 

反省は後々に…

どうも、アドバイザーの佐々木です。

 

この間レッスンをしてるときに

「吹きながら吹いたフレーズの反省をしちゃっているでしょ?それは良くないよ」という場面がありまして、思い出したことがあります。僕が昔、練習だと上手くいっていたのにレッスンや本番では上手くいかないことがよくあってずっと悩んでいました。バテてもいないし、ちゃんと何回も通せてるはずなのに単純なミスではなく崩れていってしまうんです。この状況は緊張しているから上手くいかないとしばらくは思ってました。ある時他の人のレッスンを聞いていたときに先生が「さっきの場所に引きずられてるよ」みたいなことを言ってまして、その人は僕のとは症状が違っていたのですが、

ああ!!これかもしれない!

と感じたのです。それから演奏中に振り返らないようにしました。といっても習慣化してましたので結構苦労しましたね…結局のところ、当時は吹きながら何かしら思った感じじゃないと思うと、とにかく無意識に調整をしようとして本来練習していた吹き方とどんどん離れていってしまってたんだと思います。結果音を出すということですら難しいバランスになってしまっていたんじゃないかと…。

語弊があるかもしれないのですが、

自分の音を聴かない

くらいの感覚なんですよね、前にも書きましたが、自分の中にある音をトレースするような感覚でやると自分の場合は上手くいきました。まあ人によって感覚は違うとは思うのですがあくまでニュアンスとして捉えてください。

演奏中に何かあっても切り替えて次の音に集中することが重要だということです。

 

今回はここまで、それではまた。

【質問は tb@joybrass.co.jp までよろしくです~】

 

自分の癖と対峙する

寒い日が続きますね

どうもアドバイザーの佐々木です。

今回は癖というものについてです。

留学してた頃、演奏中よく頬が膨らんでいて、いつも注意されていました。当時は鏡を見ながら練習などをしたりしてなんとかしようとしていました。もちろんそんなやり方で改善するわけもなく(それでも当時は真面目にやっていたんですよ)、それどころか段々と自分の演奏だけじゃなく自分の頬が膨らんでいないかどうかが気になるようになってしまいました。もちろん尊敬している先生からレッスンで注意された事であり、それが無いほうが良くなるはずだと信じていましたのでそこに縛られることになったんですね~。

その後ひどく調子を崩したり、顔面麻痺で奏法をリセットせざるをえなくなったり、色々なことを経てみて当時ほど頬は膨らまなくなりました。この経験からわかるのはそれぞれの癖というのはそうなるように必然的に吹いているということです。

管楽器を吹くという行為は未だに解明されない部分が多く、いわゆる暗黙知的見解から個々人毎に奏法が発生していることで様々なタイプのアプローチが存在していますが、最終的に良い音でちゃんと演奏出来れば良いという事を考えると、音を出すという行為をひたすらシンプルにしてしまえば良いのではないかと思います。ということで自分の癖を直していくというよりもよりシンプルな感覚で同じ結果を得る練習をすることで解決していけるのではないかと思います。

でもこれが意外と難しくて、いつも自分で普通だと感じていることが実はもっとシンプルに出来る要素がある場合があるのですが、そこらへんは信頼できる人とかに見て聞いてもらってください。お店で僕に聞いてもらっても良いです。

何を考えるかとゆうと

●息をして

●楽器を構えて(マウスピースを当てて)

●息を出して、音が出てしまう

を、そうですね…楽器練習時に3分くらいで良いのでやってみることから始めてみましょう。音が出ようが出まいが関係なく本当に単純な動作でやることがポイントです。それ以上は一切考えずにいつも通りに練習してください。

あとこれをやる時にも大事なのが出したい音が頭には鳴っている状態でやることです。頭はしっかりと身体はニュートラルな状態でやれるなら最高ですね。そうしていくことで必要な感覚の幅みたいなものが広がっていくと思います。結果こうしないと吹けないと思っていたものが薄れていく感じになっていきます。

文章だと難しい感じですが、実際はもっとシンプルなアプローチなんです。わからないようならまた質問くださいね。

今回はここまで。それでは、また

【質問は tb@joybrass.co.jp までよろしくです。】

質問に答えます。vol.6

最近寒いですね、どうもアドバイザーの佐々木です。

ひとつだけお知らせです。前回のBob Reevesのスリーブですが、特注でレミントンテーパーやヨーロピアンシャンクテーパーのものも作成可能です。さらにそれぞれで太さの違うものも出来るみたいです。

 

はい、今回は質問にお答えしますよ!

Q  広い音域を跨いだり、跳躍があったりするとアンブシュアが崩れる気がします。

 A  これは実際に見てみないとわからないことも多いと思うのですが、個人的に思うのはアンブシュアの状態が多少崩れても同じクオリティの音が出ることを知るのが大事かな?と。

やってみるとわかるのですが息がちゃんとその音として流れていると意外とどんな口でも音は出るものな気がします。バテたり、ちょっと無理をしたり、アンブシュアがベストの状態で吹き続けられるのは案外そんなに無いと思うんですよね。なのでこのことはバテとの関係性も大きいと感じます。ポイントは音を狙わないというか出てしまうみたいな状態を探す…うーん、文章で書くとよくわからない感じですが…中低音が比較的許容幅が広いのでリップスラーの下降型やスケールを降りていく形でコントロールしようとせずに鳴ってくれる場所ならどこでも良いと決めてやってみるとか…ストライクゾーンを広げるみたいなイメージなのです。わかりにくいようならまた質問ください。

 

Q  最新のブログ見ました。構造的にトロンボーンにギャップはないのでは?どういう仕組みなのでしょうか?

まずはこの記事を見ていただいてですね。あと仕組みは

良くわかりません…

確かにトロンボーンにギャップみたいなものはないです。直接パイプ側に差し込むのでフリューゲルと同じようなイメージでしょうかね。ただボブさんが言うように確実に変化があるとしか言いようがないんですよね。現行の色々なトロンボーンのマウスピースも長さが様々ですよね、それによって相性が結構別れてしまうという現象はこの「リムトップからクルークまでの距離」と言えるのではないでしょうか。

まあとにかく試してみてくださいとしか言いようがないのですよね~。なのでまた色々と聞いてみてください!

はい、今回はここまで。

なんでも良いので質問お待ちしております。

 メールはこちらまで!【質問募集中です

 

リムトップからクルークまでの距離 vol.2

皆様、明けましておめでとうございます。
アドバイザーの佐々木です。
本年も宜しくお願い致します。というわけで新年1発目は…

 夏にポストした「リムトップからクルークまでの距離」の反響が思いの外ありまして、お店でも聞かれることがよくあります。そうなんですよね、僕も衝撃的な変化でした、今までのマウスピース選びの感覚を覆してしまったと思ったほどですから。

とうとうその距離が探せるBob Reevesのスリーブ式のマウスピースがお店に来ました!

ジャン!

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これが

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こんな感じで装着して使用します。

特徴的なのはいわゆる細身のシャンクもこれで試せるということなんです。前に書いた「ペーパートリック」だと距離を出すことしか出来なかったのですがこれである程度のバランスの良いポイントを探せるようになります。

そしてこのシステムは他社製のマウスピースでもスリーブ加工が可能なのです。

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こんな感じで手持ちのグレッグブラックをスリーブ加工してもらいました。写真を見るとわかるのですが、いわゆるネック部分の半分くらいまで加工されています。トロンボーンの場合はトランペットと比べてトップに対してシャンク部分が短いのでどうしてもこういう形にならざるを得ないようです。ちなみにスリーブシステムは今現在は太管用でしか作られていません。

装着すると

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こんな感じになります。これでスリーブが7種類ありまして。4が標準の太さのシャンクで数字が小さくなると太く、大きくなると細くなっていきます。

7番のスリーブ装着時

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1番のスリーブ装着時

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結構変わりますよね、実際吹いてみるとわかるのですが良くも悪くも効果が大きいです。一応今はスリーブが全種類とテナー(6-1/2AL相当)とバス(1-1/2G相当)があるのでお店で試せますよ!僕もお手伝いしますよ~。

はーい、というわけで商品の紹介みたいになってしまいましたが。あくまでも「リムトップからクルークまでの距離」の続きなのです。是非色々な方に体験していただきたいですね!
今回はここまで。

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座奏のススメ

ハイ、また若干あいてしまいましたね…
どうも、アドバイザーの佐々木です。

皆さん、練習の時は立って吹くことと座って吹くことはどちらが多いですか?
トロンボーンという楽器はスライドで演奏するという特性上、意外に立奏と座奏で差が出てしまうことがあります。レッスンで両方の形で吹いてもらうと結構得手不得手が出てしまう印象が強いですね。

僕も昔は特に気にせずに気分で立ったり座ったりその時の気分で吹いてました。
でもある時、立ってやると出来るのに座って吹くと微妙に出来ないことがあるのに気づいたのです。
どちらかと言うとスケール練習とかの比較的テクニカルな練習をしている時に無意識に立奏でやってました。おそらく身体の使い方の関係で、ある程度自由がきくからだと思います。であれば座奏時での演奏クオリティを立奏と同じに出来てしまえば良いのです、個人的にここで大事なのはあくまでもクオリティのみを意識することで、腕がどうだとか座り方がああだとかを考えないで出音に集中することが一番効果的だと思います。その上でなかなか改善しない時に少しずつ意識を持ってくれば良いですね。

それ以外だと例えばオケスタは座ってとか、ソロピースは立ってなど本番を想定した練習をするのはもちろん大事なのですが、逆にDavidなどを座って練習したりするのも面白いですよ。そうして両方の差を縮めていければ身体の使い方や癖みたいなものが意外と知らないうちにならされてしまうかもしれません、実際に僕もそうでした。ポイントはとにかく常に良いと思えるクオリティを選択していくことです。

今回はここまで、それではまた!
【質問は tb@joybrassco.jp まで】